[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
最近学校で、演劇界における滑舌訓練の金字塔『外郎売』(「ういろううり」と読みます)を学生達に暗誦してもらっています。
『外郎売』というのは歌舞伎十八番の中の一つで、その演目の中のいわゆる物売り口上のくだりが発音しづらい音の羅列を含む長ーい台詞となっており、俳優の発音・滑舌の訓練に多くの場で使われているものなのです。「拙者親方と申すはお立合のうちにご存知のお方もござりませうが・・・」と始まるのですが、まぁとにかく長い長い口上(実際に僕が歌舞伎座で観た時には一つの長台詞ではなく、分割されていましたが)なので、ここにすべてを書き記そうとは思いません。それに、これに関しては演劇の教本によって相違点がここかしこに見受けられるのです。
さて、僕は学生に、言葉を文字として記憶するのではなく意味として捉えて、頭で覚えるのではなく身体に入れろ、と繰り返し言っているのですが、彼らの暗誦を聴いていると、高校までの暗記物中心の勉強の仕方に慣れているためにこれに関しても「暗記物」と捉える傾向があるらしいことが明確に伝わってきます。
これはむしろ詰め込み教育を中心に行ってきたこの国の教育に対する姿勢に起因しているのではないか・・・なんて大きなこと言っちゃったりなんかして(^-^;)
とにかく間違えるにしても間違え方が笑えます。
前半にこんな部分があります。「(前略)・・・魚鳥きのこ麺類の喰い合わせ、そのほか万病速効あること神の如し・・・(後略)」
「外郎」という薬を売るための口上ですから、その効能を語っているわけです。魚も鳥もきのこ類も麺類も、どんな喰い合わせをしても大丈夫、そのほか色んな病気にも効果抜群だよ、ということです。
ここを「魚鳥きのこ麺類の組み合わせ・・・」・・・定食屋か?トッピングはきのこで、ってか?
まぁ、このくらいの間違いはかわいいです。
また、後半にはこんな部分があります。「(前略)・・・この外郎のご評判、ご存じないとは申されまいまいつぶり、角出せ棒出せぼうぼう眉に・・・(後略)」
ここだけとっても分かるように駄洒落や付け足し言葉が頻繁に登場します。「申されまい」と「まいまいつぶり(「かたつむり」の意)」をかけていたり、「棒出せ」の「棒」から同音異義で「ぼうぼう眉」の「ぼう」へとつないだり。
ここを「ご存じないとは申されまいまいつぶし」。・・・( ̄▽ ̄;)潰しちゃった。ぐしゃっと。あーあ。かたつむりさんかわいそう(ToT)
まぁ、この間違いもこれはこれでかわいいです。
それにしてもついついその絵面を想像してしまうと面白くって噴き出してしまいます。
とにかく覚えたからOKという認識にならないように、日本語の持つ情緒と可笑しみ、自分の中にテキストを持つことの大切さを知って頂けたらなぁ、なんて願っております。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
よろしくお願いします!
公式のプロフィールはリンクコーナーにある「ケッケコーポレーション公式HP」内の所属タレント「勝沼紀義」のページにてご覧頂けます。