新しい靴の苦悩

　仕事柄、靴選びのポイントの一つに静音性というのがあります。

　ナレーションやゲームの収録では収録中に歩くということはまずないので気にする必要はありません。また外国映画の吹き替えにおいてもちょっとくらいの雑音なら原音の効果音やＢＧＭに隠れますし、マイクの集音レベルも比較的低めに設定してあるのでほぼ大丈夫。

　問題はアニメやＣＤドラマです。

　収録中、台詞を言ってる人以外は基本的にシーンと静まりかえってます。その上囁き台詞や小声でのモノローグ、ほんのわずかな息の音まで録ることも多いため、マイクの集音レベルも比較的高めに設定してあることが多いのです。だから出番が近づいてマイクまで移動する時に初めて新しくおろした靴の音が鳴るということに気付くわけです。かかとの音なら歩き方で消せますが、靴の中のギュムって音はどうにも消しづらい。でも哀しいかなこればっかりは買う時に靴屋の雑音飛び交う中で気付ける音量レベルではない、というパターンも多く、実際には買ってからでないとわからないというわけなんです。

　と、いう悩みは他の役者仲間から聞いてはいましたが、運のいいことに僕自身はこれまでそういった憂き目にあうことはありませんでした。

　ところが今回某アニメの収録で。

　新しく買った靴が歩くたびにギゥギゥ鳴りやんの。(￣▽￣；)

　微かな音ですよ。本当に小さな小さな音なんです。

　でも気になる。

　気にし始めるとどんどん気になってくる。

　これは靴の中で足が動くためなのかなと考えて、靴紐をぎゅっときつめに縛ってみると…

　ギゥギゥ音さらに悪化(；´□`)

　なので本番の録音時には自主的に靴を脱いで演りました。



　マイク前に入れ代わり立ち代わり入る役者達の中で一人靴下姿で動く男。


　次のアニメ現場にはこの靴履いて行かないように気をつけよう(´～`；)