少し上の目線

今日は僕が教鞭を執っている教室に、昨年の卒業生が二人遊びに来てくれた。

二人とも、別々のプロダクションでレッスンを受けながら新人として頑張っている立場だ。

せっかくなので授業時間の一部を使って最近の出来事や感じていること、卒業後に気づいたことなどを在校生達に色々話して聞かせてもらった。二人の卒業生は在校中から比較的授業に熱心に取り組む方ではあったが、たった二ヶ月でもプロに近いところで現実の厳しさを肌で感じた経験故か謙虚さには更に磨きがかかっていた。

在校生らにとっては一年後の自分の姿と重なるかもしれない彼ら直近の先輩の言葉は、講師のアドバイスとは違った新鮮な響きを持っていたと思う。

言葉はたどたどしくても自分の経験を交えて話す先輩の姿は眩しく映ったことだろう。

卒業生たちに語ってもらった後のレッスンでは、少し気合いの入り方が増したような気がする。

大べテランの方の「俺達の若い頃は…」というお話や現在プロとしてバリバリやっている中堅の方の「今、現場では…」というお話ももちろん貴重だが、そういった話は受け手次第でどこか遠い別世界の物語として聞き流されてしまうこともままある。

必死にバイトしながらレッスンを受けつつ、つい先日初仕事で台詞を一つもらった、という顔見知りの先輩からの生レポートは彼らにとって有効な起爆剤になったかもしれない。