日出ル国ノ猫

　猫を飼っている、と話すと大抵「種類は何ですか？」と聞かれる。

　種類なんて普段考えてもいないので、思わず「茶トラ」と答えてしまうのだが、どうやら質問する側が求めている答えはそういうことではないらしい。つまりはアメリカンショートヘアだとかロシアンブルーだとかスコティッシュフォールドだとかアビシニアンだとかチンチラだとか、どうやらペットショップなどで値札に書かれているそういう種類について尋ねたいようなのである。茶トラだとか三毛だとか黒だとか白だとかは模様の話であって猫の種類ではないのだ。

　我が家にある本には「猫には『雑種』という区分けはない」と書かれている。

　となると血統書などというものとは全く無縁の拾われっ子である玉三郎はいったい何者なのか？

　動物病院のカルテにはこう書かれていた。


　『ニホンネコ』


　そう、彼は日本猫だった。

　だからクリスマスツリーを見ても何のことやら全くピンとこないのである。